はじめに
「Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門」を読んだまとめになります
良かった点
RSpecについて体系的に学べました。Railsの他の教材では簡単に触れらるものもありますが、RSpecに焦点を当てているものは他にはありません。実務で必要な知識までカバーしているので大変参考になりました。もちろん実務レベルになるには練習と経験が必要になります。
RSpecの構造を知れたのも良かったです。コードを読むだけでは何が起っているか理解できなかったのですが、rails_helperやsupportを知りRSpecがどのように動くかが理解できました。
頻繁にメンテナンスされているので学びたいことに集中できました。Railsはアップデートが頻繁で他の教材では動かないものが多いのですが、こちらはそんなことは全くありませんでした。サンプルコードのGemfileなども読者が進めやすいように工夫されていました。
学んだ点
メモに近くなってしまいましたが学んだ点をまとめます
実装
- 自然な文になるようにdescribeとitを記載する
- 例ユーザーは文字列としてユーザーのフルネームを返す
- describe
- 期待する結果をまとめて記載する
- 「ユーザーは」などの主語を書く
- クラスやシステムの機能の大枠を記載する
- context
- 実装上はdescribeと同等になる
- 特定の状態を記述する
- 例えば結果が返ってくる状態と返ってこない状態の二つ
- it
- 一つにつき結果を一つだけ期待する
- 問題が起きたバリデーションを特定するため
- is valid のように動詞を書く
- 方針
- 期待する結果を能動系で明示的に記述する
- 起きてほしいこと、起きてほしくないことを記載する
- 境界値をテストする
設定
- .rspec
- --format documentation:見やすくなる
- --warning:警告表示
- spec/rails_helper.rb
- specのconfigの設定ファイル
- なるべくきれいな状態を保たせて依存はsupportに移す
- spec/support/*.rb
- specのconfigの設定ファイル
- rails_helperから読み込む
database
- bin/rails db:create:all # db作成
rspec
- bin/rails generate rspec:install
conif/application.rbの設定
bundle exec rspec #実行
- bundle binstubs rspec-core # 実行用ファイル生成
テストデータ
- Fixture
- Railsに最初からついている
- ymlで記述
- 別のファイルで管理される
- 壊れやすい
- ActiveRecordを使用しないので実環境と異なる
- Factory
- コードをシンプルに保てる
- 多用しすぎると遅くなる
- 予期しないデータまで作成されていないか注意する
- 可能な限りcreateよりもbuildを使用する
記載例
#spec/factories/note.rb でデータ準備 FactoryBot.define do factory :note do message { "My important note." } association :project # project作成時にuserが作成される # association :user # この記載では二重でuserを作成してしまう user { project.owner } # 上記のuserを関連付ける end end
#spec/models/note_spec.rb で作成 it 'has a valid factory' do expect(FactoryBot.build(:note)).to be_valid end
build:インスタンス化のみでDBに保存しない
- create:ActiveRecordを使用してDBに保存する
- ユニークな値の生成:
sequence(:email) { |n| "tester#{n}@example.com" }
- associationによる関連付け
- class, traitによる重複削除
- create_list
- コールバック:
after(:create) { |project| create_list(:note, 5, project: project)}
controller
- 最近は他のテストを使うことを推奨(soft-deprecated)
- 対象となる機能の単体テストとして最善の場合のみ用いる
- 筆者はアクセス制御のテストに限定している(非認可とゲスト)
- コントローラのテストなのでUIは無視される
- 書き方はmodelと概ね同じでマッチャが異なる
- 使い過ぎると肥大化する傾向にあるので注意する
- APIパスはspecに紐づける必要がある(requestではない)
system
- system specは時間がかかるので一つのシナリオで複数のexpectを書くのが良い
- controller specと異なりUIが考慮される
- テストの途中でexpectを書いても良い
- ただしそれ専用のシナリオを書く方が良い
- Capybara
- ファイルアップロードテストではファイルの削除を忘れないようにする
- 外部APIを利用する場合はmockを使う
構文
- driven_by(:rack_test)
- headless_driverの使用を宣言
- 早くて高信頼だがJSは非サポートなので使用時は外す
- headless_driverの使用を宣言
- デバッグ用メソッド:コミットしないように注意する
- save_and_open_page: 現在の状況をtmp/capybara/xxx.htmlに保存してブラウザで表示
- save_page: 保存のみ
request
- API関連のテストを行う
- Capybaraは不要なので使わない
- get, post, delete, patchでテストする
- ほぼcontroller specからの置き換えが可能
- controller specとの違い
- 任意のpathを呼べる
- routeからPOSTを送信する(createなどのアクションに作用するのがcontroller spec)
dryに保つポイント
- support module
- 毎回やる手順をワークフローを切り出す
- テスト内容に焦点を当てて準備項目などを対象にする
- 例えばログイン状態を作ることはテストの目的ではないのでdeviseを使う方が早い
- let
- 遅延読み込み
- let!で即座に作成する
- beforeでは変数以外のメソッドなどを実行するとよい
- shared_context
- 共通のセットアップを移動する
- カスタムマッチャ
- expectの集約
- aggregate_failures:失敗したexpectを集約
- エラーなど全ての失敗を集めるわけでない点に注意
- 可読性を上げる
- シングルレベルの抽象化
- コードを意味を持たせたメソッドに置き換える
- https://thoughtbot.com/blog/acceptance-tests-at-a-single-level-of-abstraction
- シングルレベルの抽象化
実行時間が速いテストの書き方、テストの速い(簡潔な)書き方
- RSpecの簡潔な構文
- subject
- testの対象物を宣言する
- is_expected
- ワンライナー記述用
- これとShoulda Matchersの組み合わせでとても簡潔になる
- subject
- エディタのショートカット
- モックとスタブ
- DBへアクセスしない
- モック
- 本物のフリをするdoubleクラス
user = double(...)
またはuser = instance_double(...)
- スタブ
- オブジェクトのメソッドをオーバーライドする
allow(some_class).to receive(some_method).and_return(something)
- テストが早くなる
- コードの難易度は高くなるので無理に使用する必要はない
- テストできる箇所も減る
- 方針
- なるべく検証付きテストダブルを使用する
- そのままでは大元の変更に追従できなくなるため
- 自分で管理していないコードをモック化しない
- 変更に追従できなくなるため
- 例外:ネットワーク、外部API
- なるべく検証付きテストダブルを使用する
- タグ
- つけたものだけを実行できる
- 例:基本
it "is valid", focus: true do
として$bundle exec rspec --tag focus
を実行$bundle exec rspec --tag ~focus
とすると指定タグ以外
- 任意の名前でよい
- describeやcontextタグにもつけられる
- 使用しないテストはskipでスキップできる
その他のテスト
- Active Storage
- job:Active Jobをテストする
- Mailer
- spy
- メソッドが実際には実行されない(例えばメール送信)
- テストコードが実行された後に発生したことを検証する(例えばuserの作成と作成時の挙動)
- spy
- VCR
TDD
- 手順
- まず追加する機能を決める
- 正常系とする
- system specにscenarioを追加する
- APIならrequest spec
- 必要な手順をコメントで追加する
- コメントをコードに置き換える
- テストを実行する
- エラーが出た箇所を実装していく
- まず追加する機能を決める
- TDDの信条
- 一気に書きたい衝動があるが、テストを前進させる(エラーメッセージを変更させる)最小のコードを書くようにする
- エラーが次に何をするべきか教えてくれる
- 一気に書きたい衝動があるが、テストを前進させる(エラーメッセージを変更させる)最小のコードを書くようにする
- エラーケースはsystemより下層に記載する
- outside-in testing
- 正常系・異常系まで書けたらリファクタリングを検討する
最後のアドバイス
- 小さいテストから始める
- 書けない場合は小さいコードを書いても良いがテストもセットにする
- 複雑な場合はスパイク(アーキテクチャを確率するためのプロトタイプ)を活用する(別ブランチ、または新しいアプリ)
- system specから始める
- ユーザーの手順を検討する
- その途中で他のレベルでテストすべき手順が見つかる
- validation, error case, authentication
- KISSを意識する
- 複雑なspecを書くスキルにも繋がる
- 手作業に逃げない
- 時間が節約されない
- リファクタリングを行う
- 周りに協力者がいない場合は教育する
- 練習を続ける
難しかった点
全体を通してシンプルなコードが使われていたので難しいところはほとんどなかった印象です。 さすが著者がテストに熟達しているだけあると感じました。
一点だけ挙げるとすれば「外から中へ進む」についての記載が理解できませんでしたので別途調べました。 TDDについて知っていればすんなり理解できたかもしれません。
所要時間
演習問題をほとんど抜いて28時間かかりました。 なるべくテキストのコードを見る前に自力で実装するようにしていたので少し時間がかかったかもしれません。
おわりに
書籍を読むことで既存のRSpecが格段に理解しやすくなりました。
時折読み返して実装力も高めていくつもりです。